勉強中のキュリロス

興味の赴くままにゆるりとロシアの歌の日本語訳を載せていきます。

《Стиляги》 ロシア おすすめ 映画 紹介

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今回はおすすめのロシア映画を紹介したいと思います~

 

ニキータ・ミハルコフの『太陽に灼かれて』(原題《Утомлённым солнцем》,1994)などもぜひ紹介したいのですが、

ここでは

《Стиляги》(2008, Валерий Тодоровский)(『スチリャーギ』)について徒然なるままに書こうかと、、、。

 

太陽に灼かれて』はカンヌ国際映画祭で受賞していたり、

成宮寛貴さん主演で舞台化していたりと、

海外でも日本でも有名であり、なんだか私めなどが語るのは畏れ多いので、

皆さん各々鑑賞して、各々感想を持っていただけたらと思います。

 

このように書くと《Cтиляги》を軽視しているように読めてしまいますが、

決してそういうことではなく、ポップ要素・ミュージカル要素が加わっている分、

こんな若造でもふらっとブログに書いてみようかと思えるくらいとっつきやすいのです。。。

 

実際は《Cтиляги》も歴史的観点から見ても大変興味深く、ストーリーも面白く、かつ音楽もあるので、奥の深い作品です。

 

長い長い前置き失礼いたしました。

いざ《Стиляги》について書かん!

 

 

2009年ロシア国家映画賞『黄金の鷲』賞を受賞しています。

監督はワレリー・ペトロ―ビッチ・トドロフスキー(Валерий Петрович Тодоровский)

で、最近有名なバレリーナが主人公の《Большой》(2017)も彼の作品ですね。

 

 

そもそも《Стиляги》とはなんぞや、ということですが、

Wikipedia先生によりますと、

Стиляги — молодёжная субкультура в СССР, получившая распространение в крупных советских городах с конца 1940-х по начало 1960-х годов[1][2], имевшая в качестве эталона преимущественно американский образ жизни.

とあります。(Wikipediaより

https://ru.wikipedia.org/wiki/%D0%A1%D1%82%D0%B8%D0%BB%D1%8F%D0%B3%D0%B8 )

 

訳しますと、

1940年末から1960年初めに、特にアメリカの生活様式を基準として、ソ連の大都市で広がった、若者たちによるサブカルチャー

となります。

 

当時アメリカに憧れを持ち、ジャズやロックに熱中して、

派手な服装で街を闊歩した若者たちそのものについてもスチリャーギと呼んでいたそうで、

この映画はそのスチリャーギたちが主役です。

 

初めてこの映画を見たとき、ソ連にもそんな人たちがいたのか!と新鮮に感じました。

 

 

日本語字幕がないようなので、あらすじを最後までここで書いてしまいます。

最後まで知りたくない方は、二本目の点線まで飛ばしてくださいな。

 

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舞台は1955年のモスクワ。

ご存知のとおり、冷戦真っ只中のソ連ですので、

資本主義国の頂点アメリカに憧れを抱くようなものなど言語道断、

スチリャーギは弾圧の対象ど真ん中です。

 

大学の共産青年同盟(コムサモル)の一員メルスは、

同盟の中でもリーダーであるカーチャから信頼されている優等生ですが、

(実はカーチャはメルスが好き)

ある日スチリャーギを取り締まっている最中に

スチリャーギ側の女の子ポリーナに一目惚れしてしまいます。

(ポリーナ役のОксана Акиньшинаが超美人)

がちがちの共産青年優等生メルスは、

ポリーナを含めその仲間のスチリャーギにおちょくられ、からかわれるのですが、

そこから彼のスチリャーギへの転身が始まります。

初めはポリーナに振り向かれたい一心から、

派手なスーツやネクタイを買ったり、サクソフォンを買ってジャズを始めたりしますが、

(どれも闇ルートで入手)

徐々にスチリャーギそのものに陶酔して、めでたくポリーナともいい仲になり、

共産青年同盟も追放され、正真正銘のスチリャーギになっていきます。

スチリャーギの仲間内でリーダーであった

フョードル(アメリカ風にフレッドと呼ばれている)は、

実はお坊ちゃまで親によって、外交官になるためアメリカへ留学をさせられることになり、

モスクワを去ります。

しばらくするとポリーナの妊娠が発覚。

ポリーナは、メルスの子ではないと告げるのですが、メルスは自分の子だと言い張ります。

家を出たポリーナは、メルスの家で生活を始めます。

めでたくポリーナは出産するのですが、生まれてきた子はなんと

肌の黒い子。

(ジャズ奏者だった某黒人との一夜でできてしまった子供なんですね。。。)

それでも、メルス含め、周りの人たちは祝福し、

ポリーナのお母さんも訪ねてきて赤ちゃんを抱いて喜びます。

出産してから、ポリーナは子育て疲れでピリピリするようになり、

そんなところに、アメリカからフョードルが帰国しますが、彼はメルスに、

アメリカでは今まで自分たちが着ていたような派手な服装の人は皆無で、

そんな文化もないということを告げます。

その事実を受け入れられないメルスは、フョードルに激高し彼を拒絶し、

走り出すのでした。

 

 

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起承転結の転がすごい転だなあ、と感じましたね笑

最後の挿入歌Шаляй-валяйのおかげで、雰囲気が明るく締めくくられています。

 

この映画、何が面白いのかと聞かれましたら、

もちろん様々な意見あるでしょうが、

個人的にはやはり音楽です。

 

元々、私、ブロードウェイミュージカルやら劇団四季やら無類のミュージカル好きで、

ロシアでミュージカル風な何かしらはないのかと探していたところ、

やっと見つけたのがこの映画です。

(ロシアといえばバレエやオペラが有名&人気過ぎるのでミュージカル文化の入り込む余地がないのでしょうか。。。どなたか他にもポップなノリでミュージカル調のものをご存知の方いらっしゃいましたら、教えていただけると嬉しいです)

 

サウンドトラックには全部で14もの曲がありますが、

その中でも特に私のお気に入りが

Человек и кошка

Я то, что надо (Дай мне эту ночь) 

です。

 

まず一つ目にあげたЧеловек и кошкаについてですが、

これは映画(引用YouTube上)の10:23あたりで始まる曲です。

日本語に直訳すると『人間と猫ちゃん』ですね笑

この歌の部分で、メルスの住むコムナルカ(комналка)において、

(当時5家族くらいが共同住宅に一緒に暮らしていた)

共同生活を送る住人たちの朝の様子が描かれていて、とても面白いです。

また、歌うのがメルスのお父さん役セルゲイ・ガシュマル(Сергей Гармаш)なのですが、

彼の声が渋くて素敵なんですね~

ロシアでは有名な俳優さんでいろんなところで見かけます。(最近だとアクションコメディ《Напарник》(2017)で主演を務めています。まだ見ていないですが面白そうです)

 

そして二つ目のЯ то, что надо (Дай мне эту ночь)は、

23:51あたりで始まるジャズです。

主役のメルスの声かと思いきや、

少し違和感があるので調べてみたらやはり違う人ですね。

アンドレイ・アレクサンドル・ビーリン(Андрей Александр Билин)という人が歌っていて、

それにメルスが口を合わしています。

左右対称をメインとしたダンスの構成だったり、カラフルなスーツ・靴が登場したり、視覚的にも楽しいです。

 

長々と書いてしまいましたが、

とりあえず面白いので見てみてください~

 

次はчеловек и кошкаとя то, что надоの日本語訳を載せたいと思います^^

 

ではでは/ Пока!